調査するべき対象とポイント
早春の2月下旬から3月上旬頃になると、港に「ハク」と呼ばれるボラの幼魚が溢れかえります。
10月~1月に水深10m以上の場所で産卵を終え、凡そ20~25℃の60時間で孵化するとの事です。稚魚は2~3日で3mm程になり、そこから3~6cmに成長する春には外洋から沿岸の河口や河川に侵入して生活します。遡上する水温の範囲は12~23℃(日本の旬・お魚のお話より引用:https://www.maruha-shinko.co.jp/uodas/syun/45-bora.html)
で、この変の港は河川の流入がかなりありますし、河口付近に港が隣接している事もあって、遡上前の成長過程で港に溜まるのではないかと思います。
調査対象「ハク」とは
上記にも書いておりますが、ボラの幼魚をハクと呼びます。
地方によって呼び名が変わるそうですが、シーバスを狙ったアングラーの間では「ハク」パターンなんて呼ばれるくらい、早春から初夏にスズキのベイトとなるボラの子供を「ハク」なんて呼ぶのが一般的です。
実際、サイズによって呼び名が変わってくるのですが、
ハク ・・・~4cm
イナッコ・・・4cm以上~18cm
イナ ・・・18cm~30cm
ボラ ・・・30cm~40cm
トド ・・・40cm以上
といった感じとの事。 (参考記事:日本の旬・お魚のお話より引用)
ハクは大体1か月で1cm大きくなるようで、4月頃から群れを作って河川を遡上し始め、淡水域のシャローに入ってくる。遡上のタイミングには稚鮎も絡んでくるので、稚鮎についても少し・・・
鮎の産卵と稚鮎
アユは水温が下がり始めると、台風などの増水の流れに乗って川を下り始めます。これが「落ち鮎」台風が多いのが10月頃。そこから水温20度を下回る11月中旬から下旬が最盛期になるそうです。
多摩川アユの場合、産卵のポイントは河口から約25km~18kmあたりだそうで、これを焼津付近の河川で当てはめると、大井川では国道一号線あたりが河口から18kmで、瀬戸川・朝比奈川だと、これまた国道一号より上流。
さらにアユの産卵床に求められる「条件」として、水深10~30cmで水アカが付いていない砂利とグリ石が混じるような平瀬との事。瀬戸川は産卵のメインとなる11月付近は、雨が降らないとあっという間に河川が干上がってしまう。また朝比奈川の場合は「水アカが付かなくなる程流れが速くなる部分」は河口の新幹線付近ぐらい・・・、どちらにしても産卵に適した場所が上流以外ないんですよね。実際去年なんかは、落ち鮎観察に行ってみたけど、「正直分からない」という結果。産卵の為に落ちてくるパターンは期待出来ないかな~って感じ。ただ、上流で産卵した稚鮎が集まる可能性はあります。
要するに、ある程度河口まで距離があって水量も安定している、または流速がある河川なら「落ち鮎」さらに稚鮎の量も期待出来るのでは?という結論。(参考記事:多摩川散歩HP)
実際、大井川については大井川漁業組合のHPで稚鮎の状況が確認出来たりもするので、大井川については「稚鮎」の遡上も予想が出来ると思います。(大井川漁協過去記事:2021年3月13日 , 2021年3月15日 ,2021年3月24日 )
という事で、ハクと稚鮎がベイトとして港内に溜まり、成長・水量と共に遡上するという点で共通していると思います。ただ、5月~6月までは河口から淡水域に溜まっていても、雨季の増水を終え、水温が上がると、鮎は低水温を求めて上流へ登っていきます。対して成長したハクはイナッコ・イナとなり汽水域・河口部に降りてくるので、ハクパターンが終わると、上流部へ上がるシーバスと河口へ溜まるシーバスに分かれる可能性があります。
この際に増水量が影響してくると思われ、雨が定期的に降って増水が続かないとシーバスの遡上は見られない。(去年はそんな感じでした。)
加えて、去年、一昨年の釣果を見てみると、5月~6月頃、沿岸にサバやイワシが接岸しているんです。おそらく成長して河口から遡上するハクや稚鮎を狙っているのではないかというのが個人的な考えです。ある意味ベイトパターンが増えるの5月~6月上旬は有難い!
夏の終わりまではハク・稚鮎の場所を追っていけば魚に会える可能性が高いです。
【余談】 秋口からはイナッコの遊泳力も増すので、どこへ集まるか?また回遊性のベイトがどこ居るか?、頻繁に海に行かないと魚に会える可能性が低い。ただ、その辺もここ近年で分かったのが、マズメのタイミングで河口付近のテトラ際がアツイ。もちろんベイトが居ないと成立しないので、イナッコが河口・港湾口に下るタイミングで、マズメのテトラ付近を狙う必要がある。実際、去年一昨年とコンタクトがあったし、ベイトが居て潮が良く動いてたり流れがあるポイントであれば、マズメじゃなくても流心付近を回遊している可能性が高いので、満潮までの上げ、さらに下げは状況によって可能性がある。これが秋口から12月にかけての釣り。(過去記事参照)
大分脱線したので本題に戻ります。
ハクがどこにいるか?調べるべきポイント
上記で記述してますが、3月中旬~4月上旬までは・・・
河口付近
成長が早い個体が遡上するのを確認する為に、とりあえず岸壁付近のストラクチャー周りをチェックします。
【ハクや稚鮎が居る場合】
水が済んでいれば根魚狙い。水が濁っていれば、水温が上がる日中や夕まづめは活性が上がっている可能性が高い。濁りが無ければ日が出ているタイミングは難しいので、暗くなってから、常夜灯が当たるストラクチャー周りをチェックする。
港湾・湾奥
【河口付近でベイトが確認できなかったら】
河口に居ないなら港の内に居る可能性が高い。特に湾奥に溜まる事が多いので、常夜灯がある奥まったポイントを見て回り、ボイルがあればチャンス。
調査対象が確認出来ないなら帰った方が無難
実際、足を運んだポイントにハクが確認出来ないなら竿を出すのはお勧めしません。濁りが入っていれば別ですが、濁りもなく澄んでいる場合、水温は低く活性もあがってません。加えてベイトも少ないなら、まず捕食の可能性は低いでしょう。
それでも釣りたい方は根魚でも釣って気を紛らわすしかありません。(根魚は取りすぎると居なくなるので気を付けましょう。)
「ハク」を確認出来たら付近を調査
「ハク」が確認出来たら、その周辺を探りましょう。
・常夜灯が近くにあるポイント
・地形が変化しているポイント
①構造物で入り組んでいる
②根がある
③深さが変わるかけあがりがある
・潮う風が当たるポイント
(ハクは遊泳力がそこまでないので、風や潮の影響を受けやすいです。)
河口なら潮、港湾ならマズメ(常夜灯が協調されるタイミング)
河口に溜まったハクは遊泳力がついてきている
河口でベイトが確認できたなら、以降は潮の動きを意識して釣りに行くと良いかもしれません。群れで移動するハクを捕食するタイミングとしては、表層との距離が近くなる干潮にボトムから捕食(ボイル)する事が多いです。また、流れが河口へ強くなり、シャローエリアから追い出されたハクを捕食しやすいタイミングでもあります。
港湾のハクは群れで固まっていて、かつ風や潮があたる構造物周りに溜まる
港湾部の場合は、大体が水深があるエリアなので潮位の影響よりもマズメ(暗い)が狙いを付けやすいです。特に夕マズメは気温が下がり始める前という事もあり一度活性が上がります。また、ハクは朝マズメにシャローから移動するという習性があるらしいので、朝マヅメも可能性があるかもしれません。
マズメ以外では、どのタイミングで捕食するかは読めなくなるので、ひたすらベイトの変化や水面を観察しながら移動していくしかないです。(根気が必要になるので、やはり狙いを絞ってマズメが効率がいい気がします。)
ハクパターンにオススメのルアー
あくまで実績のあったルアーのみを紹介します。世間的なコレというのは、「おすすめ」程度であり、釣ったポイントが違うので参考程度です。だったら実際に釣れた際の状況が詳しく分かるルアーの紹介をしたいと思います。
河口付近
河口付近では構造物やブレイク周りに潜んでいて、そこからハクを捕食する事が多いので、そういったポイントの表層を出来るだけスローに、かつ波動は少なめでアピール出来るルアーがおすすめです。またハクは基本遡上している事が多いので、ダウンに投げて表層をゆっくり引く事が多いです。
【DAIWA ミドルアッパー3.5inc】
参考過去記事:釣り部78 早春のシーバスマイクロベイトパターン攻略!
【ima sasuke 95F】
港湾口ですが、流心へ流す釣りでしたので、「流れ」のある河口・港湾口で使えるルアーという事で紹介。
参考過去記事: 釣り部81 シーバスを求めて・・・マイクロベイトの捕食を観察しよう。
港湾
港の常夜灯周り・ストラクチャー周りをうつ場合、多くのアングラーによってうたれているので、かなり擦れています。実際なら8cm弱のミノーで攻めるんでしょうけど、擦れていた場合、なるべくルアーのサイズを小さくする必要があります。それに合わせてタックルを変える必要も出てきます。どちらかというとライトタックルの方が向いています。シルエットはぼやけるクリア系が良いです。実際ボイルが多数あって、ボイル音が大きい場合はシーバスのサイズもデカいので、タックルを変えて攻めます。
【DAIWA ミドルアッパー3.5inc】
参考過去記事:釣り部82 「ハク」にボイルするシーバスを探し、焼津の港をめぐる。(人気を避けて)
【Major Craft ジグパラスロー 15g】
港湾で、船の明かりに集まったベイトにボイルしていた際、飛距離が欲しかったので使用しました。
参考過去記事: 釣り部75 早春からのマイクロベイトパターンの釣り!シーバス狙い!
【DUO テトラワークス ユラペン48/トトファット35F】
港湾のボイルに対して、早い動きに反応する際にはユラペン、ポイントへ流しながらゆっくり誘う際はトトファット
参考過去記事(ユラペン):釣り部9 大井川港にてライトゲームでカマス・アジ狙いから…
参考過去記事(トトファット): 釣り部72 ライトゲームで釣果を出す方法(焼津編)
どっちもミドルアッパー強いです。表層をロッドコントロールとリーリングで引いてこれるし、ストレートで低波動がシーバスに口を使わせる。ハク・イナッコパターンには3.5incで、サバやイナになってくると4.2incが強いです。
実際ですと、飛距離が出て表層を低波動で誘えるミノーやシンペンがオススメなんだと思いますが、個人的には実績が無いので上記には載せておりません。あきらかにサイズの大きいシーバスが居て、遠くでボイルしていれば使用します。オススメだとDUOのマニックやシマノのトライデントあたりがお勧めだと思います。特にシマノのトライデント115の公式飛距離が80mというのは驚異的で、130のサイズだと95mと・・・ジグ並みの飛距離を出せて表層を引けるのはヤバいですね。何はともあれ飛距離は大事ですからね。(ちなみにネットだと品薄・高騰で、この辺の店舗で置いてある店は上〇屋藤枝店さんに少しありました。)
めちゃめちゃ長く書いてしまったので、サクッと釣行記事いきます。
3月9日夕まづめ釣行について(釣果あり)
潮はこんな感じ↓
まず河口へ向かったのですが、特にベイトもボイルも確認できなかったので、すぐに港奥へ。
ちょうど港湾の風があたる場所にエントリーすると、大量のハクと小さなボイル。
さっそくライトタックルを取り出して、ジグ単に信頼のガルプベビーサーディン2incをセット。
タックルはアジングロッドに1000番のリールで、ラインはエステル0.4号、リーダーはヤマトヨフロロ1号(4lb)。
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エステルは切れると思われてますが、ヨツアミのエステルは割と強度がありますので、おすすめです。
実際、アジング用のエステルラインはそこまで大物を釣る為のラインではなく、浮力や感度重視なので、そこは使い用です。ただ根ズレに備えてリーダーは少し太めを用意しましょう。
小さなボイルがあったポイントを通すと・・・「ぐぐっ」と小さいあたり、これはアレです。
そう!足元を見ると手のひらサイズの茶色いアレが・・・これはおそらく「ネンブツダイ」通称キンギョ!
早々にポイントを移動。湾最奥にあたるポイントへ。
ここは常夜灯もあたるので状況的には〇。
さっそくベイトを確認すると・・・うじゃうじゃとハクの群れ!!これは期待出来る・・・が、ボイルが無いので、少しうって移動。
湾最奥へ入る常夜灯を順に回っていると・・・岸壁際で「ボシャ」というボイル。
これはセイゴの可能性大!
18時前から40分ほどが経過し、19時には上がりたかったので、ラストチャンスと思い先ほどと同様のタックルを手に取ってキャスト!
ボイルの先から岸壁際をゆっくり通し、足元付近まで来たところで・・・
グイン!「ぐぐーーじーーーーーー」
竿が曲がる!!
セイゴサイズだと思うけどライトタックルだとちょっとヒヤヒヤするようなやり取り!
浮かせてドラグを締めたら「セイ」
サイズは30ぐらい
やはりベイトがたまる付近の岸壁でした。
おそらくルアーに気が付いて、しばらく見ながら暗から明にさし掛かった所で「ヒット」という感じでした。
ここで釣行終了!
今回の釣行で、ベイトがまだ港内に溜まっており、しばらくは港内を回る事で釣果に繋がる可能性が高いという事が分かりました。今後も港内の常夜灯周りのベイト・ボイルを探せば回遊性のフィッシュイーターにも出会えるかもしれません。
もちろん徐々に河口へ移動していくので、時間や潮の動きに合わせて釣行を組み立てていく事で大物に出会える可能性もあるはずです。
このように釣行を組み立てていく事がマイクロベイトパターンの面白さでもありますね。
これからシーバスフィッシングを始める人は、マイクロベイトパターンこそシーバスゲームの組み立てての手始めに!
まだまだ寒さが続きますが、釣りのモチベーションにもなりますね!
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